現役引退を目前にした2人の同期入団のプロ野球選手。 かたやスター選手。かたや1軍と2軍を行ったり来たりの1軍半の選手。 同じチームにいながら、それぞれまったく別の道を歩んできた。 それぞれまったく違う方向性の考え方をもちながら。 そんな2人の人生が現役引退目前に交錯するという内容。
この2選手を中心に、現場はもちろんフロントの人間も含めたチーム内の人間模様や事件を通してもう一度自分を見つめ直していきます。
その中で表面化する嫉妬や羨望。本当は自分はこうしていたかった、でも実際あのときの自分はそうなるように行動していたのか? あのとき自分はひょっとすると、本来の目的以外のちっぽけな理由にこだわり、相手の能力とちゃんと向き合わなかったのではないだろうか?
などなど、本当にいろんな感情と共にぼくらが一般社会で生きていく為に必要なエッセンスが所々にちりばめられています。
そこはまるで一般社会の縮図のよう
この小説の舞台はプロ野球という一握りの選ばれた人間達のコミュニティになっています。 けれども、ここに描かれている感情というのはぼくたちが今働いている会社や、生活している一般の地域コミュニティでもよくある話。 舞台こそ違えど、とても身近で起こっているというよりも、自分自身にもよく当てはまる感情でした。
本文の中のひとこと。
百パーセント本気で自分のシナリオが実現するとは思っていない。だが思い続け、それを口にし、努力しないことには、可能性すら遠ざかる一方である。
ラストダンス 位置No.3323 第四章
自分の中では「これ」をやる!と最初は思っていても途中でやっぱ無理かもってタイミングがあるときもあると思います。そして、やっぱり自分はダメなんだって。自分にはそれだけの能力が無いと。
でも、それでは前に進めないんですよね。折角前に進もうと思ったのにまた元の場所に戻ってしまう。
足りなかったのは自分を信じる力
その時の自分に本当に足りなかったのは能力ではなくて信じる力。 自信でしょう。 もちろん能力も足りなかった。けれども、そもそもは自分を信じる事ができないが為に能力を上げる為に努力するというステージにすら行けていなかったということ。 そのことを気付かせてくれた、というよりもう一度考えさせてくれた一節でした。
ぼく自身が描く行き先への道のりには当然経験したことが無いことがたくさん起こるでしょう。でもこの考えを見失わずに、理想を思い続け進み続けようと強く思いました。
野球を経験していない人でも、今の状況に不満のある人は一度読んでみることをおすすめします。
ラストダンス (実業之日本社文庫 堂場瞬一スポーツ小説コレクション) | ||||
|