土曜23:40からフジテレビ系で放送されているドラマ「火の粉」。ユースケサンタマリアの気持ち悪い感じが、なんともいえないですよね。久しぶりに引き込まれるドラマに当たったって思ってます。あまりにも気になったので、原作小説「火の粉」を購入しちゃいました。
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どうしてフジテレビは、このドラマをもっと速い時間帯で放送しなかったんでしょう?
はじまりは法廷での判決
主人公の梶間勲は、当時裁判官で一家殺害事件を担当。その被告人が、武内。
一家3人が殺害されたその場に、武内もおり背中を犯人に受けたとみられる打撲痕を負っていた。
検察はこの傷を、武内の自作自演と主張。しかし、弁護側はこの傷は自分で背中を殴打した程度ではできるものでないと。
しかし真犯人の痕跡がつかめないということ、そして凶器が被害者の的場邸にあったバットということから、犯人は武内というセンが有力とされていたんです。
そしてこの裁判を担当していた梶間勲が、武内の背中の傷が立証できないということから、無罪判決を。
それから2年後、梶間勲は裁判官を退官してマイホームを購入し大学教授になっていました。そこに、武内が現れるんです。ここからがこの作品の本格的なはじまり。
さらに梶間勲の暮らすマイホームの隣に引っ越してきちゃうんです。そしてここから、梶間一家が武内の手に堕ちていくというあらすじ。
分かりやすく気持ち悪い武内の描写
もうドラマで分かりやすく描かれているけれど、武内という人間すごく気持ち悪い。表向きはとても紳士的で親切なジェントルマン。
これで梶間家の人たちは騙されちゃうんですよね。
でもその裏には、自分がすべてを支配していたいというあまりにも幼稚な感情が。もう、自分の思いどおりにならないことは、彼にとってはすべて悪なんです。
だから自分のことを良く思っていなかったり、疑ったりしている人はとことん排除をしようとする。
ダダをこねる子供が、そのまま大人になって知恵をつけたような感じ。そうなるともう子供のような無邪気さはそこにはなく、狂気のみが残るんですよね。
このあたりの描写が、ものすごくうまく描かれています。
自分のなりの正義と家族のカタチを
そして衝撃のラスト。この言葉は、いろんなメディアで使われているんですが、この作品に関しては本当にこのひとことに尽きます。
最終的には、武内の魔の手に完全にやられてしまった・・・。みたいな。でも、梶間一家にとってはこの結果は逆によかったのかな?というなんともスッキリしないラスト。
序盤からラストまで一貫してスッキリしないというのが、素直な感想。でもだからといって、気持ち悪いということもなく、作品としてはすごく完成された素晴らしいストーリーです。
一冊をイッキ読みできるほどの完成された内容になってますよ。ここまでイッキ読みができるほどの理由は、武内の描写もそうですが、それ以外のひとりひとりの自分の感情の機微がとても繊細に描かれているから。だから、作品にドンドン引き込まれちゃう。
この作品は、ドラマもいいですが原作で自分なりの正義を見つける方がたのしいかもしれません。 ラストをどう感じ取るかは、結構意見が分かれるかも。ひとつだけたしかなのは、武内みたいな人が自分のお隣さんだったら、ホント嫌ってこと。
ドラマもいいけど、やっぱり原作がイチバン
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