N's Life

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家入一真『我が逃走』読了 どこまでも逃げ続けるその姿から学んだもの

元ひきこもりからペパボの社長へとなった著者、家入一真氏の自伝。

 

前作の『こんな僕でも社長になれた』が引きこもりの少年時代からのサクセスストーリーなら、今作は社長からの転落人生。

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この転落ぶりがハンパなかった。

 

とにかく逃げる、逃げる、また逃げる

そこにはみっともないくらいに逃げ続ける男の姿がありました。 中盤くらいまでは、社員の気持ちになってしまいイライラしながら読んでいました。

 

それでも、最後には自分なりの突破口というか自分らしさを再認識して自分の進みたい道へ邁進していく姿。

 

これ本当にノンフィクションなの?って思うくらいドラマティックな展開です。

 

と同時に、これほどまでに自分の強さも弱さもすべて自分をさらけ出している人間だからこそ「自分らしさ」が見つかるんだろうなって関心と、ぼく自身に対する反省も沸き起こってきた不思議な一冊です。

 

いきなりの引きこもり

GMOグループ参加になり、東京進出を果たした直後。

その雰囲気に呑まれた僕は初日以降、徐々に緊張で足が遠のき、移転後まもなく東京初の引きこもり期を迎えた。

いきなりの出社拒否です。 自由というかなんというか。

更に不安と緊張でアポイントをキャンセルしちゃう。

上手に話せるだろうか、失礼なことを言わないだろうか、自分だけ仲間はずれにされないだろうか…。<中略>僕は秘書にメールをポチリと送れば、その日のアポイントはキャンセルできるのだ…!

これには思わず笑ってしまいました。 自分だけ仲間はずれにって、そしてアポをキャンセルって。 それは子供すぎるでしょって。

 

そんな著者が飲食事業を始めます。 ここから雲行きが怪しくなってきます。

内山さんはわかっていたのた。ぼくが自信満々で進めている飲食事業は、客観的な数字から見ると不安材料があり余るほどあるということを。事業単体では赤字で、僕の個人資金を使いながら運営している現状を、彼女は誰よりも問題視し、折りを見ては忠告してくれていた。

 

そんな内山さんの重要な忠告もまったく響きません。

だけど、何を言われても僕には響かなかった。 「大丈夫、大丈夫。お金ならいっぱいあるんだから」

 

完全に急に大金を持ってしまった子供状態。 規模は全然違うけれど、ぼくが子供の頃の祭りの時に初めて親からお金を貰って、嬉しすぎてその日のうちに全部使ってしまった事を思い出しました。

 

そして、二店舗目の立ち上げと同時になんともう一店舗を立ち上げちゃいます。 その時、内情を知っている社員達は当然猛反対。

社内の反対は聞かなかったことにして、僕はコンペを開くことにした。

 

社員からしたら、やるならひとりでやってくれって感じです。

 

そんな飲食事業の状況の中で、更に海の家を始めちゃいます。 そして、それが大赤字。

 

その現実から逃げるかのように夜の街で酒におぼれる。 ここでも逃げ続けます。

あの、コーラばかり飲んでいた僕が、その頃にはテキーラを愛飲する飲んべえになっていた。店に着いたらまず景気づけにテキーラ。誰かが着いたら、一緒にテキーラ。さらにはスピリタスと呼ばれる、アルコール度数九十六度のウォッカでつくられたゼリーを食べて昇天し、ドロドロの状態で朝を迎えることも多かった。

もう完全にダメ人間の見本のような描写が出来上がっています。 それでもまだ逃げようとする。 スタッフを解雇しなくてはならないというとき。

「本部のスタッフはほとんど社長が採用されたんですから、社長から直接お話しするのが筋でしょう。おつらいかとは思いますが、よろしくお願いします」 永岡くんの言うことはもっともだった。でも、できたら代わってほしかった。

何から何まで都合の悪いことを放棄して、逃げようとするその姿勢。 確かに誰しも本音の部分ではこんなことを思うこともあるでしょう。 でもそれをここまでさらけだせるというのはある意味強みなのかもしれないとも思う。

 

なぜかぼく自身をみつめなおすきっかけに

この本は終盤になるまで終始この調子。 そして、住む場所もなくなり人の家を転々とする生活に。 上場企業を作り上げた人間が、ここまで落ちぶれます。 まるで偉人伝に出てくるような、波瀾万丈さ。

しかし、ここから少しずつ立ち直り始めます。 色々な心の弱さを見つめながら、少しずつ回復を始めます。

自分は何がしたいのか?というものを愚直に求め続けるその姿は尊敬に値します。

 

この本を読んでいると、人間の弱さと汚さ。 それは当然ぼくの中にもうごめいている。 そのことを認識させられます。 そして、なぜか自分という人間の事をまじまじと考えるようになりました。

当然これはおおいに個人差があると思います。

 

ただ、そう思わない人にもこの著者のダメ人間ぶりはひとつのノンフィクションドラマとして十分楽しめるものだと思います。

 

一度は読んでおいて損はないと一冊だと思います。

 

 

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